Book selection;「ズルい話し方」
岸正龍著書 きずな出版 ズルい話し方
本のコンセプト紹介
この本の結論です。自分の行動を自分で決めたいという性質がある。そのため、他人からの強制や提案に対して抵抗を感じたとえそれが自分にとってプラスの提案であっても、無意識に反発してしまう。このような人の性質を心理学では心理的リアクタンスという。
私が本を読んで特に共感した部分
1、心理的リアクタンスの弊害
2、心理的リアクタンスへの対処法
以上、2点について紹介いたします。
1、心理的リアクタンスの弊害
先に心理的リアクタンスについて少し説明します。そもそもリアクタンスとは日本語で抵抗という意味です。つまり心理的リアクタンスとは、心理的な抵抗のこと。この心理的リアクタンスが起こるのは、自分の選択の自由が制限されるような場面です。
例えば、
親に勉強しなさいと言われると、やりたくなくなる。
友達におすすめの映画を教えてもらっても大して興味が湧かない。
このように他人に自分の行動を指示、強制、提案されるときに、人はそれらに対して抵抗を感じます。
なぜこのような反応が出るのでしょうか?
その大きな理由は、人はそもそも自分のことは自分で決めたいという性質があるからです。そのため、他人からの強制や提案に対して、最初は反射的に抵抗を感じるようになってます。
そしてこの心理的リアクタンスには注目すべき点があります。それは心理的リアクタンスは無意識に生じるという点です。つまり、人はその反応が起こっていることを、自分では自覚していないということです。
そしてこの心理的リアクタンスによる弊害は主に2つあります。
1つ目は、「人を説得するときの弊害になるということ。」
2つ目は、「有益な情報や提案のシャットダウンに繋がりうるということ。」
1つ目は言わずもがなでしょう。人を説得するときに、相手は無意識に抵抗を感じているのです。2つ目は、特に自身に関して相手の情報が精査できていない時に起こりがちだと思います。
では、この心理的リアクタンスを対策するにはどうしたらいいのでしょうか?
2、心理的リアクタンスへの対処法
1、「自分が相手を説得するときは相手に興味や疑問を持たせることで、一方的な会話にならないようにする。」
2、「自分が相手に説得されるときは、自分の状況をまずは把握して、相手の提案のメリット、デメリット、リスクとリターンを分析する。」
1、自分が相手を説得するときの弊害について
誰かを説得するときや仕事で営業するときなどに、この心理的リアクタンスの弊害にぶつかります。そのような場合に、相手に心理的リアクタンスを起こさせないために大事なのは、
興味になります。
相手に興味を持ってもらうことさえできれば心理的リアクタンスの発動を回避することができます。この興味がわくということによって、相手は質問するという行動をとります。自分からの一方的な説明や説得ではうまくいきません。
相手からの質問を引き出せる話し方こそが、相手を説得できる話し方です。また一言に興味とはいっても、いろいろな形の興味があります。人によって臨機応変に使い分ける必要があるでしょう。これを応用して逆に相手に質問で聞き返してみると、相手が自分により興味を持つようにもなります。
2、自分が相手に説得されるときの弊害について
この場合は自分の状況を把握して、相手の提案のメリット、デメリット、リスクとリターンを分析するという方法が有効です。まず自分の状況を把握するというのは、今自分は心理的リアクタンスに陥っているのではないかという認識を持つということです。
繰り返しですが、本来心理的リアクタンスは条件反射的に無意識で起こるものです。しかし、今心理的リアクタンスについての知識を既に持っているので、人に何かを提案された際に、心理的リアクタンスが発動してるかもという視点を持つことができます。このように、まずは状況を把握することが一つ目のステップです。
そして次のステップは、自分の中での心理的な抵抗や嫌悪感を一旦無視して相手の提案を合理的に分析します。具体的には、相手の提案のメリット、デメリット、リスクとリターンを並べて分析する。そうすることで、後悔しない選択を取れる可能性をぐっと高めることができます。
全体のまとめ
「心理的リアクタンスとは、人は他人に指示されると、無意識に抵抗を感じて拒否したくなるという性質のこと」
「人はそもそも自分のことは自分で決めたいという性質があるため、この反応は生じている」
いかがだったでしょうか?
他にも本書では相手から質問を引き出すための具体的な話し方や人のバイアスを操る方法など、コミュニケーションにおいて役に立つ心理学のテクニックがわかりやすく解説されています。話下手で損していると思う方におすすめだと思います。